ペトロマックスは手間がかかる?
ペトロマックスは手間がかかるが、その手間が楽しいという方もいらっしゃいます。
しかし、ほとんど初期不良のような不具合や仕様ともいえる準欠陥もあるといえばありますし、そういった不具合には使っていて辟易するときもあるのではないでしょうか?
「ペトロマックスHK500が欲しいけど使いこなせるか不安」
「ペトロマックスHK500がじゃじゃ馬過ぎて正直疲れた」
「ペトロマックスHK500のメンテナンスを知りたい」
と感じる方もいるでしょう。
私も、使い始めた頃は、もうお倉入りさせようかと思ったほど苦労しましたが、工夫を続けた事で、ここ10年マントルを数年に一度交換するだけでノーメンテとなりました。
ここでは、試行錯誤の末たどり着いたペトロマックス超実用化へのポイントを解説します。
ペトロマックスの良くある不具合
ペトロマックスの不具合は「ノズル」「ミキシングチューブ」「ジェネレーター」「ポンプ」に集約されると言っても過言ではないでしょう。
ノズルやミキシングチューブはゆるみやすく、過熱によってよく動きます。
ポンプは加圧式火器共通のアキレス腱です。
また、ジェネレーターの不具合はカーボンなどによって詰まったり安定した火力に陰を落とします。
ノズル・ミキシングチューブ
ペトロマックスのノズルは過熱によるガスチャンバーの変形によってゆるみ良く落下します。
セラミックノズルなら破損、ステンレスノズルでも炎上・マントル交換とペトロマックスが壊れやすいと言われる代名詞とも言えます。
これの解決にはノズル・ガスチャンバー・ミキシングチューブを細めのステンレス針金で縛って固定してしまうのが一番です。
ノズルとミキシングチューブは固定しましょう
詳しくはこちらのページで解説しておりますので参考いただければと思います。
ジェネレーター
ジェネレーターの不具合も火器なら良く言われるところです。
一番多いのがジェネレーター内部でのカーボン蓄積による劣化で、バーナーであぶったりして焼き切るメンテナンスがありますが、実は私はここはある方法を用いる事で全くのノーメンテで10年以上使っています。
その秘密は消火のときにあります。
消火するとき圧力調整スクリューをゆるめてタンク内の減圧をするのですが、そのときグリップホイールは開きっぱなしにしておき翌朝まで放置するのです。
これにより、ジェネレーター内部に残った灯油は自然とゆっくりタンク内にもどりジェネレーター内部での不具合を防止するのです。
ひとことで言うと毎回のジェネレーターの換気です。
他のジェネレーターを擁する火器でも、何度か開け閉めを繰り返しジェネレーター内部の燃料を空にするという方法がありますが狙いは一緒です。
液燃火器のアキレス腱ともいえるジェネレーター
ただし、翌朝 圧力調整スクリューとグリップホイールは必ず閉めるように気を付けてください。
圧力調整スクリューとグリップホイールの閉め忘れについてはこちらで。
ポンプまわり
正直ポンプまわりは唯一の駆動部ともいえ、不具合が多いのはいたし方ない部分があります。
手っ取り早くノーメンテ化するのであれば、ポンプアダプターにつけかえ自転車の空気入れで加圧するのがおすすめです。
ポンプアダプターは簡単につけられます
ポンプアダプターはこちらで詳しく紹介してます。
また、ポンピング・加圧に対する不具合のひとつに燃料の入れすぎというものがあります。
あまりに灯油をいれすぎると空気が入る余地が少なくなり十分な加圧された空気をタンク内にとどめる事ができないのです。
これの改善にはコールマンのフューエルファネルを活用するのが一番です。
フューエルファネルについてはこちらの記事で紹介しております。
その他のノーメンテ化ポイント
上記でほとんどの不具合の種が消えると思います。
個体の当たりはずれは確かにあると思いますが、上で述べた事は当たりの個体でも懸念される要素です。
手間がかかるのが良いと言われる方でも、不具合連発ではさすがに嫌気がさしてくると思います。
ここからは、上記にあたはまらないややレアなケースなどで気を付けたいポイントを挙げていきます。
あまりばらさない
これは本当に声を大にして言いたいところです。
明確な不具合もないのにやわらかい真鍮製のねじ山に何度も負荷を与えるような分解行為は壊しにいっているようなものです。
普段の手入れは火屋内のよごれを落とす程度、それもニードルを傷つけないように気を使いながら慎重にやるぐらいで十分です。
もし、分解するような場面があれば、ねじ山を保護し気密を保つため液体ガスケットを使ってほしいです。
これには、パッキンを侵さないシリコーンタイプのものを使用しましょう。
予熱は付属の予熱バーナーで水抜き兼ねて
アルコールなどで予熱をするのが好きな方も多いと思いますが、おすすめは予熱バーナーです。
パーツ図をみるとわかるのですが、予熱バーナーはタンク内の底近くで灯油を吸い上げています。
実はタンク内はポンピングによる空気の圧縮で過熱され、結露してゆくため水がたまりやすく、これがジェネレーターへ流れ込むとジェネレーターの劣化につながります。
予熱バーナーなら圧力で液体を噴霧上に吹き付ける構造なので多少水が混じったところで問題ありません。
つまり予熱バーナーを毎回使う事でタンク内の水抜きをすることができるのです。
余熱バーナーを活用しましょう
圧力メーターや圧力調整スクリューからの空気もれに注意
圧力メーターのパッキンは強い力で締め付けることもあって劣化しやすく、圧力調整スクリューも空気漏れの報告が多いところです。
これらの不具合の予防にはパッキンや圧力調整スクリューにオイルを塗る事です。
圧力のかけすぎ、抜けすぎはどっちもNG
点火してしまえばあとはポンピングするだけというのがペトロマックスですが、圧のかけすぎはいけません。
圧力メーターにゲージがあるのでそんなにやる人は多くないと思いますが、ついついポンピングの回数を減らしたくなって過圧ぎみになったりするといつの間にかタンクが縦に膨張していたなんて話もあります。
逆に圧力が弱くなった状態で長時間つかうと、まずマントルが煤だらけになってしまい圧力を元に戻して火力をあげてもしばらく暗くなってしまったり、最悪はジェネレーター内部でカーボン化したりと良くない事が多いので圧力管理だけはしっかりやりましょう。
つけっぱなしでいずれ圧力が弱くなって自然消化、なんて使い方は間違いなくペトロマックスを壊れやすくしてしまいます。
こんな煤がマントルに広がります
ポンピングについてはこちらで
ペトロマックスノーメンテ化のまとめ
ペトロマックスは壊れやすいと言われてますが、私は全くそんなことはないと思っています。
機械・道具ですからある程度の工夫や対策が必要ではありますが、どちらかというと骨太でタフな実用機とさえ思ってしまいます。
ペトロマックスの購入で迷っている方は間違いなく買い!です。
こちらのページで紹介した方法でペトロマックスをガシガシ使ってください。